親知らず
親知らず
親知らずとは
第3大臼歯とも呼ばれ、永久歯列の完成後に一番後ろに生えてくる歯です。全て生えそろえば4本存在しますが、噛み合わせに関与することがほとんどないため、退化傾向にあります。人によっては生涯にわたり1本も生えてこない方も現在では多くいらっしゃいます。
親知らずの生えてくる時期
18歳から20歳の頃に生えてくることが多いです。
親知らずの症状
- 腫れ
- 痛み
- 頭痛
- 肩こり
- 発熱
- 口が開けにくい、閉じにくい
- 喉の痛み
- 呼吸困難
- 声が出しにくい
親知らずが生えてくる際の痛み
親知らずが歯肉を破り、頭を出そうとする頃にムズムズとかゆいような症状が一時的に出ることがあります。子供の頃、知らないうちに痛みもなく大人の歯が生え始めていたのと同じように、親知らずが生える際の痛みはほとんどありません。
親知らずの痛みの原因
親知らずが痛む原因は大きく分けて二種類あります。１つは、親知らずそのものが大きな虫歯になってしまってその歯の神経が痛んでいるケース。もう１つは、親知らず周囲の歯肉が炎症を起こして痛みが出現しているケース。非常に稀なケースですが親知らず周囲の、腫瘍やのう胞などの病気が原因であることもあります。
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性
親知らずが生えていなくても、歯並びが悪くなるケースがあるため一概に親知らずが原因で歯並びが悪くなると言い切ることはできません。
矯正治療と親知らず抜歯
子供の頃に歯列矯正を行なったにもかかわらず、20代の頃にまた歯並びが悪くなてきたという患者様をしばしば見かけます。親知らずが後ろから押しているせいだと、それも原因の一つとも考えられますが矯正後の後戻りの原因としては親知らずよりも、矯正後の保定であったり、悪習癖が原因ではないかとも考えられます。矯正治療における親知らず抜歯の一番の目的は、きちんと歯を並べるためのスペースを確保のためだと考えています。
親知らずと抜歯
親知らずの抜歯について
親知らず抜歯を行う上で十分注意しないといけないのはそのまわりの顎の骨の形や、周囲の血管や神経の走行の仕方です。それらをきちんと調べるためのレントゲンや歯科用のCT設備があるかどうかが１つの基準と考えます。
また、親知らず抜歯は口腔外科では日常的に行われている小手術です、担当する歯科医師が口腔外科での勤務経歴があれば親知らず抜歯を数多く経験している可能性が高いため信頼度は高いと言えます。上記の条件が整っている歯科医院での親知らず抜歯をおすすめします。
親知らず抜歯ができるケース
- きちんとまっすぐ生えているケース
- 横向きに生えているが、顎骨内の血管、神経との距離が十分にあるケース
親知らず抜歯ができないケース
- 全身疾患のコントロール状況が不良な方、感染リスクの高い方、妊産婦
- 深く顎骨内に埋まっており、血管、神経との距離が近いケース
抜歯のタイミング
痛みが強い時は、まずはお薬で炎症を鎮めてから抜歯を行います。麻酔が効きにくく術後の痛みも強く出る可能性が高いためです。抜歯当日やその翌日に大切な予定がある時や、仕事が忙しい時は抜歯をお勧めしません。
抜歯当日やその後2,3日はゆっくりと過ごせるようなタイミングで抜歯に望むことをおすすめします。また、年齢を重ねると骨が硬くなって難易度が増します、できるだけ若いうちに抜いてしまうのも良いと思います。
抜歯の費用と治療時間
まっすぐに生えている場合
| 抜歯の難易度 | 易 |
|---|---|
| 抜歯にかかる時間 | 10-30分 |
| 抜歯の費用 | 1,000円程度 |
横向きに生えている場合
| 抜歯の難易度 | 普通 |
|---|---|
| 抜歯にかかる時間 | 30-60分 |
| 抜歯の費用 | 2,000円程度(別途CT撮影：3,000円) |
埋まっている場合
| 抜歯の難易度 | 難 |
|---|---|
| 抜歯にかかる時間 | 30-60分 |
| 抜歯の費用 | 2,000円程度(別途CT撮影：3,000円) |
抜歯をしたほうがいい場合、
しなくても良い場合
抜歯をおすすめするケース
- 親知らずそのものが虫歯になっているケース
- 痛みに悩まされることが多い、または腫れては治るというのを繰り返しているケース
- 親知らずの周りの歯周ポケットが深く、隣り合う歯に悪影響を与えているケース
- 矯正治療を考えている方
抜歯をしなくても良いケース
- 親知らずが存在しているが、虫歯になっておらず、今まで痛くなったことがない場合
- きれいに生えており、虫歯にもなっておらず噛み合わせにきちんと参加できている状態の場合
- 完全に顎骨内に埋まっており、今後歯茎より上に頭が出る可能性がない場合
抜歯後の注意点
（腫れ、痛み止め、その他）
- 出血について 術後は抜歯部位からの出血、強い痛みが出る可能性があります。血圧が高くなったり血流が良くなると再出血のリスクが高くなるので抜歯当日は激しい運動をせずにできるだけ安静に過ごし、あったかいお風呂に長時間入浴したりせず当日はシャワー程度ですませるようにしてください。
- 痛みについて 抜歯窩は怪我をした時の傷口と同じような状態になっているため、スムーズ抜歯を行なったとしても痛みが出る可能性はあります、痛み止めを服用いただければ十分にコントロールできる範囲の痛みです。
親知らず抜歯と腫れ
腫れる期間
上の親知らずの抜歯では術後の腫れはほとんど無いケースがほとんどです。下の親知らずの場合は、処置を行なった2日〜４日後に腫れのピークを迎えると言われています。通常でも腫れの程度はほっぺたにアメを含んでいる程度からお団子を含んでいる程度腫れることが予想されます。
抜歯を行なって一週間後に診察することが多いですが、その際に抜歯後すごく腫れたというお話を患者様から伺いますが、その頃には腫れがおさまっていることがほとんどなので、腫れる期間は約4,5日程度です。
こんな腫れ方は注意が必要
通常の抜歯後の腫れ方は、体に侵襲を加えたことによる生理的な範囲であることがほとんどですが、危険な腫れ方として考えられるのは腫れが喉の方まで広がり、息苦しさを伴う場合です。これは、炎症を起こしている部位の腫れが気道を圧迫している可能性があり、速やかな気道確保の必要がある場合があります。
親知らず抜歯の流れ
- 問診 その日の体調や、全身疾患の有無、その状態についてお話を伺います。医科の主治医への問い合わせが必要な場合は、日を改めて抜歯を行う場合もあります。抜歯後の過ごし方など不安に思うことや、気になることは何でもお伝えください。
- 診査 レントゲンやCT撮影を行い、親知らずの生え方やその周囲にある組織との距離、埋伏の深さの程度等を確認して抜歯方法を的確に判断するために抜歯の難易度を評価します。
- 抜歯 術中の痛みや不快感を最小限にするために、丁寧に局所麻酔を行います。その上で抜歯処置を行います。歯肉の切開を行った場合は縫合を行い、ガーゼを噛んでいただいた状態で止血を待ちます。止血が確認できたら抜歯処置は終了です。
- 消毒、抜糸 抜歯の翌日、もしくは一週間後に傷口の状態を確認し消毒を行います。縫合を行なった場合は抜糸も行います。
親知らず抜歯のよくあるご質問
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親知らず周囲は、とても磨きづらいため汚れが溜まりやすく不衛生になりやすい環境になっています。そのため歯肉に細菌が炎症をおこして痛みが出たり、腫れたりします。また同様の理由で親知らずそのものがひどい虫歯が進行し、神経が炎症を起こしたときも強い痛みが出てしまいます。
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永久歯列が完成した後に生えてくる歯なので、その頃には顎の骨の上に親知らずがきちんと生えるスペースが無くなっていることが原因です。そもそも、現代人の顎の骨は退化傾向にあるため、どんどんサイズが小さくなっていると言われています。そのために親知らずそのものが生まれながらに存在していない方もいらっしゃいます。
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親知らずは一度抜いてしまえば二度と生えてくることはありません。
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ひどい虫歯になってしまっている場合は抜歯せざるを得ませんが比較的まっすぐに生えており、患者様ご自身できちんとブラッシングが行えて、清潔な状態を保てる場合は抜歯を行う必要はないと考えています。それが難しい場合は、周りの歯に与える悪影響を考慮すると抜歯をおすすめします。
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口腔内は細菌数がとても多く人間の体の中で一番汚い部位と言われています。抜歯後の傷口が大量の細菌にさらされていると、傷口に細菌が入り込み術後の感染を起こす可能性が高まります。抜歯前はブラッシングを行い、口腔内が清潔な状態で抜歯に臨ことをおすすめします。また抜歯は身体にも精神的にもストレスの大きな処置なので、体調がすぐれない場合は日を改めるのも良いかもしれません。
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通常の上の親知らずの抜歯の場合は数分程度。下の親知らずの場合は10分から30分程度、深く埋まっている場合は30分から60分程度かかる場合があります。
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困難な抜歯の場合、抜歯を完了させるよりも患者様の全身状態（気分が悪くなった、出血が多い、途中で強い痛みが出た、など）が優先される場合は体調を優先して抜歯を中断する場合があります。日を改めて再度抜歯を行うこともありますが、そのままの状態でも問題ないと判断できる場合に限っては再度抜歯をしないこともあります。
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抜こうとする親知らずの虫歯がひどいと、力をかけるところが無くなってしまったりかけてしまったり、骨と癒着（強くへばりついている）が起きている可能性もあるため抜歯が困難になる場合があります。
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直接的な関係はあまりないと考えています。
